●パソコン点訳と点字データの種類
パソコンでは墨字のデータだけでなく点字データを扱うこともできる。
今回はパソコンで点字データを扱う方法とデータの種類について解説する。
●従来の点訳方法とパソコン点訳との違い
■従来の点訳
- 紙に直接打つので修正が困難
- 複製が困難
- 遠くに送るには郵送っする必要がある
■パソコン点訳
- 修正が簡単
- 途中で文章を挿入することができる
- コピー、複製が簡単
- インターネットを使って遠隔地に送ることができる。
(遠隔点字印刷システムというものもある)
●パソコンで点字データを作るには
点字エディター(「点訳ソフト」、「点字編集ソフト」などと呼ばれることもある)をパソコンにインストールする。
入力は、パソコンのキーボードのうちの六つのキーを点字の6点に見立てて入力する「6点入力」の他、通常のワープロソフトのようにローマ字や仮名入力もできる。
作成した文章はファイルとしてディスクに保存できる。
その他「自動点訳ソフト」を使えば、ワープロソフトで作成した漢字仮名交じりの文章を点字の仮名分かち書きされた文章に変換することもできる。
ただし漢字の読み下しなど誤変換が出ることがあるので、最終的に点字の知識のある人の修正が必要になるが、とりあえず点字の文章を作りたいという場合に利用できる。
●点訳ソフトと点字データの種類
■.BET
日本アイ・ビーエムが初期のころ開発していた「IBM-BE」というソフトで採用していた形式。
■.BES
IBM-BEのバージョンアップ版である「DOS-BES」、
さらにWindowsに対応した「Win-BES」、
さらにバージョンアップされた「点字編集システム」で採用されている形式。
ないーぶネットのデータは、古いものは「.BET」、最近のものは「.BES」の。
■.BSE
MS-DOSのころ、NEC PC98シリーズ、富士通FMRシリーズで動作したフリーの点訳ソフト「BASE」で採用されていた形式。
BASEはソフトが無料で配布されていたということ、当時主流だったPC98シリーズで動作したことから多くの利用者がいた。
現在はBASEに似た操作方法でWindowsで動作する「ういんびー」、「Tエディター」というソフトが開発されており、当時BASEで点訳作業をしていた点訳ボランティアの方を中心に利用されている。
■BLS、BLE、BS
ニュー・ブレイル・システム株式会社が開発、販売している「ブレイルスター」という点字編集ソフトで採用されている。
ブレイルスターはバージョンによりファイル形式が異なる。
- ブレイルスター(初期):.BLS
- ブレイルスター II:.BLE
- ブレイルスター III、ブレイルスター for Windows:.BS
■.BMT
KGS株式会社の点字電子手帳「ブレイルメモ」で採用されている形式。
8点に対応している。
■その他
- .NAB:「コータクン」という点字編集ソフトで採用
- .BRL:NABCC(北米点字コード)。
ソフトにより.TXN、.BRFなどの拡張子を付けられることもある
●なぜいろいろな形式があるのか
データには文章だけでなく、各ソフトウェアの設定情報なども埋め込まれている。
それらの情報を保存するために各ソフトで独自の形式が採用されている。
ワープロソフトで作成した文章や、画像、音声、動画データにもさまざまな形式があるのと同様、点字データにもさまざまな形式がある。
最近の点訳ソフトは他のソフトとの互換性を保つために複数の形式で保存することができる。
他人にデータを送るときは、その人が使用しているソフトで読める形式で送るよう心がける。
逆に、8点など一部のソフトでしか対応していないものもあるので、それを別の形式で保存してしまうと正しく保存できないので注意が必要。
●質疑応答
■質問1
ブレールスターforWindowsのファイル形式は何ですか?
回答
bsです。
■質問2
8点漢字のファイル形式で保存した場合、
あとから、6点漢字に変換できますか?
回答
直接6点漢字に変換することはできませんが、ブレイルブリッジというソフトを使って、一度漢字のテキストファイルに変換してから6点漢字に再変更することはできます。
■質問3
6点漢字を使用した出版物はありますか?
回答
漢字の点字については、6点漢字を入力手段として使用している人はいますが、6点漢点字の本を読む人はほとんどいないので、6点漢字を使った読み物は一般にはほとんど出版されていません。
ライトセンターにはボランティアによって作られた6点漢字を使った読み物も、おさめられています。