◎ミニ講習(九曜):2009年に予想されるウェブアクセシビリティ関連の動きから
今年のこれから予想される障害者のホームページのアクセス環境―ウエブ アクセシビリティー(障害者でも高齢者でも誰でもがホームページを使える環境にすることを言う)についてどんな動きがあるかについて話す。
WCAG 2.0 公開
まず 去年の12月にHPの標準化を行っている、定めている団体で、ワールド ワイド ウェブ コンソーシアム(W3C)から、ウエブアクセシビリティー コンテンツガイドライン2.0(WCAG 2.0)というのが発表されました。
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0
今までの1.0は1999年5月ごろに発表されていて 9年ぶり位に改訂された。
どこがちがうのか?まだよく読んでいないが(アメリカの団体で英語で書いてある)、簡単にどこが変わったかを挙げると
1.具体的にテスト可能である
例えばよくあるのが、画面のコントラスト比(白と黒の部分の比)明るい部分と暗い部分がはっきりしていると画面が見やすい。これがある条件下で4.5対1以上でなければならないと定められている。今までのは「充分なコントラスト比をもうけなければならない」というようなあいまいな表現になっていた。充分というのは人によって違うのでテストする人によってバラつきが出てくる。今回のように具体的に数字で出ると、誰がテストしても基準が同じなのでよい。チェックするソフトなどを作る場合でも便利である。要するに内容が具体的になったということです。
2.最新技術への対応
9年間でHPの環境もずいぶん変わってきた。例えば、回線速度も速くなり動画を使ったHPが増えたりしていて、最新技術に対応した。また今ある技術だけでなく、これから登場する技術にも対応した書き方がされている。それ故読んでも分かりにくい所もあるが、特定の技術に対しては具体的に定める事によってわかりにくさを解決している。
3.国際協調
アメリカでかかえている問題は日本や他の国でもかかえているという事で、できるだけ世界で問題になっている事は共通化しようという事。
◎日本での動き
日本では、このウエブ アクセシビリティーのガイドラインのJIS企画(JIS X8341-3)がある。
JIS X8341概要:情報アクセシビリティ国際標準化委員会:INSTAC:JSA
2004年の6月(5年前)に作られている。五年ごとに改訂される事になっていて今年がその年となる。だから2.0を基準に作業が進んでいて、9月以降に新しいJIS規格が誕生すると思われる。
日本でもJIS規格が出来てから、自治体とか企業が障害者にも使いやすいHPを作るようになってきたのでこのような標準規格が必要である。今年新しく改訂されるので、障害者を取り巻くHPの環境もまた少しずつ変わってくるのではないかと思います。
ガイドラインの話は分かりにくいので私達に直接関係のある話をします。
◎「ソーシャル アクセシビリティー プロジェクト」
去年の7月ごろからIBMが始めたサービスですが、mixiなどをソーシャル ネットワーキング サービスというが、「ソーシャル アクセシビリティー プロジェクト」は、コミュニティーを使ってHPを見やすくしようという試みです。
具体的にはどういうモノかと言うと、
例えば、HPに写真が載っていたとして、それに説明がついてないという場合に音声ではどんな写真があるか分からないという事になります。そういう時に、ソーシャル・アクセシビリティー・プロジェクトに写真が載っているがどんな写真か分かりません。ちゃんと説明してほしんですけどとリクエストを送信する。プロジェクトに参加している請眼者のボランティアの人がそのHPに写真の説明を付けてくれて送信してくれる。そしてそのHPを見ると、他の人でも説明が見れるようになる。
今まではHPを見やすくするには二つの方法があった。
- 1.HPの製作者に写真の説明をつけてくださいとお願いする。
- 2.読み上げソフトを作っているメーカーに対して、機器・ソフトの強化・改良をお願いする。
それに対し、ソーシャルネットワーク プロジェクトを使って皆で協力して世の中のHPを読みやすくしていこうという試みが「ソーシャル・アクセシビリティー・プロジェクト」です。
具体的に利用するには?
1.ソーシャル・アクセシビリティー・プロジェクトのHPを開く
1−1.利用するために会員登録、IBM IDを申し込む(登録しなくてもゲストとしてもできる)登録しておいた方が、自分がリクエストしたページの作業状況とか、説明がついた、解決したなどの活動状況が分かるので、できれば登録しておいた方が便利に利用できます。
1−2.自分のIDを使ってログインする。
1−3.ソーシャル アクセシビリティー ツール(HPで無料で提供されている)をダウンロードする。
1−4.インストールしてPCに組み込む。
(スタートメニューのすべてのプログラムに入る)
1−5.そのツール内に「ツール起動」というのがある。エンターで起動する。
2.次にどこかのHPを開く
2−1.読みにくいページ、例えばリンクが画像で分からないというようなページがあったら、リクエストを送信する。
2−2.リクエストを送信する時は、ホットキー(標準の状態ではCtrl+Shift+.)
そしたらツールのメニューが開くので、↓キー「リクエストを送信する」を選ぶ。
2−3.メッセージの入力画面になる。コメント「どれそれのHPのページにはリンクがたくさんありますが、画像が多いので説明がなく、分かりにくいので説明を付けてください」という風に書いてエンターするとリクエストが送信される。
3.プロジェクトのHPで確認できるようになり、プロジェクトに参加しているボランティアの人が、それを見て、説明をつけてくれる(専用のソフトがある)
説明のデータの事をメタデータという。
4.またそのページを開いて、ホットキーでメニューを開き、「メタデータを適用する」を選ぶ。メタデータが適用されると「ピンポーン」と音がする。
4−2.画像、写真などの説明を読み上げるようになる。
このように分かりにくいページをみんなで協力して少しでも分かえいやすくしていこうのがこのプロジェクトです。<
☆写真の説明もそうだが、見出し、HPが広いとどこからどこまでが一区切りか分からなかったりという事がありますが、見出しをつけたり、ボタンに説明をつけたりもできる。もし興味がありましたら、無料で参加できますので、賛歌して見られたらと思います。
単純に説明をつけてもらうだけというんじゃなくてページがどうしたら読みやすくなるかとか、具体的にリクエストを通じて、ディスカッションというか話し合いが行われているのでいろいろと参考になるのではと思います。
質問コーナー
Q1.ボランティアの方が説明をつけてくださるのだとおもいますが、常時待機しておられるのですか?
A1.ボランティアの人はソーシャル アクセシビリティーサイドバーというソフトがあって、それを使ってHPに変更を加えるのであって、ボランティアの方は定期的にみておられるようです。だからリアルタイムで待機していなくても、時間のあるときにメタデータをつければよくて、それ以後は「メタデータを適用する」を選べばいつでも音声ソフトで見られる。
Q2.ということは、画像だけでなく、グラフとかも読んでいただいて、メタデータに入ってくる可能性はありますね。
A2.そうですね、グラフとかもだいじょうぶだと思います。機能もすすんで、つけられるデータも増えてきているので。
Q者:すごい進化ですね、ただただおどろいています。健常者でもなかなか使いこなせないかもしれませんね。説明が下手な人はかえって頼りたいですね。
Q3.その次からは、そのHPを開いたら、説明がついているというのではなく、「メタデータを適用する」という操作が必要になるのですね。
A3.「メタデータを適用する」という操作をしないと、そのHP自体を変更はできないので。ですからそのツールを入れておかないといけない。
Q4.メタデータを適用というのは、一旦自分自身のPCに取り込んでということですか?
A4,あまり詳しくないですが、サイドーバというのを使うと変更を加えることができるので、他の人がつけていたら、見られると思います。
Q者:。共有するということですね
Q5.画像の多いHPを見る人はいいかもしれませんね。
A5.ネットショッピングなどで、商品の写真とかを、もう少し詳しく知りたいときに便利だと思います。